マーケティングガイド
マーケティングの3C分析とは?実践に役立つ手・・・
2022.02.01
TRASPコラム
マーケティングガイド
更新日:2023.03.30
公開日:2021.01.28
コロナウイルス蔓延により人と人が直接接触するマーケティング手法を取るのが難しくなりました。「ニューノーマル」の一環として、マーケティングにも「接触せずにアピールができる手法の確立」が求められています。コロナウイルスが終息しても環境は以前と変化しているでしょうし、インターネットを上手く活用して集客効率などを増やしていけるとよいでしょう。
中でもオンライン上で自社の商品やサービスなどをアピールできる「オンライン展示会(web展示会)」は、今までの人が直接触れ合う展示会に代わる新しいアピールの手法として注目されています。
今回はオンライン展示会の開催や参加などに興味がある方向けに、その概要やできること、メリットやデメリットなどを分かりやすくご紹介していきます。
目次
オンライン展示会とは、Webを活用しながら展示会を行う手法を指します。カメラやVRなどを使ってユーザーに映像を見せて、その中で自社の商品やサービスをアピールしていくのが特徴です。
たとえば「バーチャルマーケット」は、VRをふんだんに活用したオンライン展示会として注目を浴びました。
など3D制作物の展示および販売がメインになった展示会です。
それだけではなく、有名企業がVRを使って出店を行ったのも話題になりました。たとえば「アウディ」は3Dモデルの新車「e-tron」を会場に出現させ、アバターを介して接客するという新時代のマーケティングをバーチャルマーケットにて行っています。アウディのブースはメインターゲット層以外のユーザーでもにぎわい、認知度向上などを実現できました。
オンライン展示会で必ずしもVRを使うとは限りませんが、成功事例として参考になる展示会であったのは間違いありません。
またIT分野で言うと、「Apple」は2020年6月以降すべてのイベントをオンラインにて開催して話題になりました。具体的には2020年6月の開発者向け会議である「WWDC」以降から、指定の時間にYoutube Liveなどでイベントの模様をリアル中継する形式に切り替えました。会場でイベントを行う場合と違って商品やサービスなどのアピールを十分準備した上でイベントに望めるので、Appleのスタッフにとってもメリットのある開催方式です。
「iPhone 12」といった各デバイスやサービスの紹介はインターネット上で大きな反響を呼び、一部のモデルは販売予約開始後すぐ売り切れるほどの人気を集めました。2021年度以降もAppleのイベントはオンライン開催がメインになるでしょうから、今後の動向もチェックしておくとオンライン展示会でのアピール参考になる可能性があります。
コロナウイルスの蔓延により、「直接の接客などに頼ったマーケティングに危険がある」というのを誰もが感じています。オンライン展示会は直接触れ合わなくても間接的に接客ができる優秀なマーケティング手法として多くの企業の注目を浴びています。
続いてはオンライン展示会でできることを解説していきます。
オンライン展示会では直接接客しての商品やサービスのアピールができません。代わりに画像や動画などを活用して商品やサービスをアピールしていきます。
といった手法でターゲットユーザーにアピール可能です。VRを介した商品モデル紹介は高度な技術が必要なので急に手法として取り入れるのは難しいかもしれませんが、画像や動画などはどんどん活用してアピールを行っていきましょう。
講演会やセミナーなどは、商品やサービスに関する理解や学習に時間を掛けたいと思っている熱心なユーザーを後ほどコンバージョンへつなげるためにも重要な手法です。オンライン展示会ではインターネットを通じて講演を生配信する「ウェビナー」でリアル展示会と同じように情報発信ができます。
ウェビナーだと直接会場に来れない方にも情報を提供できるので、ターゲットユーザーの範囲を広げることができます。ただし急にキャンセルされてパフォーマンスが落ちないよう、
といった手法も活用しながら参加率を高めていく工夫が必要です。
オンライン展示会では紙の資料は必要ありません。また紙の資料でしか資料を配布できないようであれば、参加者に郵送する手間も掛かります。
資料をデジタルデータとしてすぐ配布できるようにしておけば、郵送などのコストも掛けずに効率よく希望者に資料をダウンロードしてもらえます。また「資料の一部だけを公開して、全貌をウェビナーで公開する」といった手法でウェビナーの参加者を増やすといった手法も取ることができるので工夫してみてください。
現在では
といった手法も流行っています。各チャットツールを使ってコミュニケーションが取れれば、直接接客ができなくてもインターネットを通じて間接的に細かい接客ができるようになります。
またウェビナーの質問や相談受付にもチャットツールが活用可能です。その場で疑問をチャットツールを使って解決できるようにしておけば、よりコンバージョンの確度を上げられます。チャットツールでフォローするだけでなく継続的にメールでフォローするといった手法も活用しながら、コンバージョン率を増やしていきましょう。
オンライン展示会が有効な業種は次の通りです。ちなみにあくまで事例の一部であり、オンライン展示会次第は工夫すればどんな業種でも活用できるようになっているので参考情報としてご覧ください。
製造業は直接製品を開発して販売する性質上、オンラインでの展示会には向いていないように思えます。しかしたとえば自動車業では3Dモデルで車体の検証を行うといった取組も進んでおり、製造業でもIT化の流れは顕著だと分かります。
たとえば農業大手の「クボタ」は、「農フェスクボタバーチャル展示会」としてバーチャルの製品展示会を開催しました。全国津々浦々からさまざまな参加者が集まり、
など農業関連機器の詳細を動画で確認することができるようになっていました。
自由に取扱説明書をダウンロードして閲覧できるようになっていたのもポイントで、手間なくターゲットにアピールするにはどうすればよいか考えられた展示会となっています。
IT業は「すでにデジタルツールを使ってマーケティングができる状況が整っている」という点で、最もオンライン展示会と相性がよい業種と言ってよいでしょう。ツールがそろっていれば、協業しなくても独断でオンライン展示会を開催しやすいのもメリットです。
たとえば働き方改革にも取り組んでいる「サイボウズ」では、「Japan IT Week」というイベントの延期に対応して展示ブース内で提供する予定だったセッションをオンラインで配信しました。「Japan kintone Week」と名付けられたセッションはクラウドサービス「kintone」の基本情報や活用事例などを合計3日間に渡って提供する大きなイベントになっています。
申込みが必要ですが参加費は無料で参加しやすい形式になっていたのもポイントです。
化粧品小売業に関しては自社ブランドを「Instagram」といったSNSで情報発信して、ロイヤルティを獲得するといった手法がよく導入されています。
オンライン展示会においては、「イン・コスメティクス・フォーミュレーション・サミット」という大きなイベントが開催されています。
といったさまざまな取組が行われており、オンラインでありながらデジタルツールを上手く活用して集客できるように工夫されています。
オンライン展示会には次のようなメリットがあります。
実会場でオンライン展示会を開催する場合、
といった関係者各自にコストが発生します。
しかしオンライン展示会ではコストが縮小され、予算が少ない企業でも簡単に出展できるようになっているのがポイントです。コストがゼロになるわけではありませんが、開催へのハードルが低いのはかなりのメリットになります。
実会場での展示会の場合、開催日時や場所が決まっているため都合が合わないターゲットユーザーは参加できません。顧客獲得の機会損失が多くなるかもしれないのがデメリットです。
しかしオンライン展示会の場合開催日時は決まっていますが、場所は限定されていません。パソコンやスマホなどインターネットにアクセスできるデバイスがあればすぐに参加できるので場所に限定されずに参加可能です。またアーカイブとしてウェビナーなどの映像を残しておけば、時間が合わない方でも実質展示会に参加できるのもメリットになっています。
さらに実会場ではキャパシティが決まっており、収納できる人数が決まっています。しかしオンライン展示会の場合回線などが安定していれば世界中から人を集めることも可能です。アーティストの話になりますが、オンラインの開催に切り替えて通常より集客数を伸ばし、売上が例年より上がったケースもあるので人数制限がない点は大きなアドバンテージになり得ます。
災害などのトラブルを受けずに開催できるのは、コロナウイルスの感染が拡大している現在大きなメリットになります。トラブルがある状態で展示会が開催されてしまうと満足のゆく接客ができない可能性がありますし、集客数も減少してしまいます。
コロナが終息したとしても
といった日常で起こるかもしれないトラブルに関しても影響を受けないので、オンライン展示会は有効なマーケティング手段です。
アナログで展示会を行うと、参加者のデータを紙で集めないといけません。スタッフがいちいち紙を収集しながらユーザー属性を分析するのは面倒ですし、抜け漏れが起きる可能性があります。
しかしオンライン展示会の場合、オンライン上でリアルタイムに
といったユーザー属性データを収集可能です。実会場で展示会を開催するよりデータ収集の手間が減り分析に時間を回しやすくなります。
といった実会場では集めるのが難しいデータも簡単に収集可能です。分析したデータは商品やサービスの開発に活かしたり、次の展示会の改善に利用できます。
オンライン展示会のデメリットも理解しておきましょう。
オンライン展示会では、サービスの構築や準備が実会場の選定や開催準備に該当します。つまりサービスの構築や準備などには時間を掛ける必要があります。
といった作業が発生するので注意しましょう。
特に主催者側としてオンライン展示会を開催する場合は、最初に膨大な時間と労力がかかるのも覚悟しておいたほうがよいです。「自社だけではオンライン展示会を開催できなさそう」という場合は専門業者への依頼も検討してみると負担が減ります。
すでにテレワークにおいてWeb会議を経験している場合は理解がしやすいと思います。
Web会議においては、回線が悪くて映像にノイズが入ったり音声にラグが発生したりするとまともに通信ができません。通信ができない状態になると時間を掛けて解決する必要も出てくるのでWeb上でコミュニケーションが取れるメリットが薄くなります。
オンライン展示会においてもウェビナーなどで回線が断続的に切れたり切断されたりすると、話に集中できなくなってユーザー側の負担になります。離脱も発生するかもしれません。このため
といったインフラ上の工夫が必要となります。自社で構築するわけではなく他社のサービスを利用してオンライン展示会を開催する場合は、通信品質が安定している評判の高いサービスを選定する必要があるでしょう。
オンラインでの接客はどうしてもプル型の営業になりがちです。電話での販促通話などプッシュ型の営業が嫌われる傾向にある現代ではあまりデメリットに感じない方もいらっしゃるかもしれませんが、それでもプッシュが効きそうなロイヤリティの高い顧客にはプッシュ型で営業を掛けたいケースも多いはずです。
顔を直接見ながらプッシュ営業ができないので、オンラインならではの営業方法でカバーしていく必要があります。先ほどの事例で言うと、「AIを活用して顧客とのマッチングを行う」といった手法は有効になるでしょう。ただし一般的になるのはもう少し先になりそうです。
バーチャル展示会の場合は声掛けなどもできるので、プッシュ営業が通常のオンライン展示会よりも実行しやすいかもしれません。
ここではオンライン展示会開催の流れを順番にご紹介していきます。
最初に出展したい製品やサービスを決定します。そして
など基本的なコンセプトを設計していきます。オンライン展示会用のプラットフォーム選定も済ませておきましょう。
次に
などの各デジタルコンテンツを活用して参加者を集めていきます。イベントの認知度向上にはプレスリリースやSNS、継続的なプッシュにはメールの利用がおすすめです。
詳しくは後でご紹介していきます。
次に展示会で集客を行う際重要となる、コンテンツの制作を行っていきます。
オンライン展示会で必要とされるプロモーション画像や動画は、通常の画像や動画と違う場合もあります。ノウハウがない場合は画像や動画に関する専門業者に相談を行って内容を決められるとよいでしょう。専門業者にオンライン展示会用のクリエイティブを作った経験があるとよりよい結果が得やすくなります。
画像や動画といったコンテンツの制作には時間が掛かるので、オンライン展示会の開催予定日に余裕で完成して準備を間に合わせられるようにスケジュール調整を行ってみてください。
次にオンライン展示会に必要な人員の配置を決めていきます。実会場で必要な人員と内容が変わるので注意しましょう。
といった人員を適切に配置して、安定して展示会ができるように体制を作っておくと安心できます。
オンライン展示会が開催されたら予定通りにコンテンツを提供してデータを収集していきます。コンバージョンにつながるかは今後の動きに掛かっています。ウェビナーを開催した場合はすぐにアンケートを取り資料請求や商談などに誘導するといった手法を取って、ホットな顧客を集めていきましょう。
集めたデータは専用の分析ツールで解析を行い今後の改善点などを洗い出していきます。またオンライン展示会終了後のメールフォローなども忘れずに行いましょう。
ここからはオンライン展示会が手軽に開催できるサービスを3つご紹介していきます。
WEB EXPO Master
「Web展示会を開催できるCMS」を謳っているオンライン展示会サービスです。
Web知識や技術のない方が簡単にオンライン展示会を開催できるのがコンセプトになっており、
といった簡単なステップだけですぐオンライン展示会用のページを作成可能です。初期は小規模展示会しかできませんが、大規模な展示会にも対応しているのもメリットになっています。
といった便利な機能も多数搭載しています。
目的や規模に合わせて
といった各形式を柔軟に変更できるので使いやすいサービスです。
・出展企業をゾーンに分けて把握する
・会場マップでリアルタイムのブース参加人数などを可視化する
・その場でオンライン商談を申し込める
・製品やサービス紹介のコンテンツをブースに掲載できる
・LIVE配信で自由に情報発信ができる
といった多彩な機能を備えていながら、使いやすいインターフェースになっているので初心者でも迷わずオンライン展示会を開催できるのがメリットになっています。
また来訪者のデータは専用のアクセスレポートで可視化可能です。
大規模開催に向いているオンライン展示会サービスです。
といった多彩な機能で世界中のターゲットユーザーにアピールできるのが特徴になっています。
また
といった各種サポートも行っているので、サービスを導入するだけでサポートしてもらいながらスムーズに展示会の準備ができるのもメリットです。
ここからはオンライン展示会を開催するのに必要な集客ツールをご紹介していきます。
プレスリリースはWebメディアなどの報道関係者が閲覧する情報です。現在ではプレスリリースのWebサイトに情報を登録して公開する手法が一般的になっています。
オンライン展示会に関する情報が今までなかったような画期的な内容であれば、複数のメディアに無料で取り上げられて集客力が向上する可能性があります。ただし通常のライティングとは異なり、プレスリリースには情報をより分かりやすく淡々と紹介するスキルが必要となるので注意しましょう。
また
といった連絡の取れる情報を必ず記載するのもポイントです。
SNSマーケティングは多数の企業で導入されていますが、その一環としてオンライン展示会の情報をSNSに流して参加者を集める方法もあります。
といったユーザー層の違いがあるので、ターゲットユーザー層に合わせてオンライン展示会をアピールするプラットフォームを決める必要があるでしょう。拡散されれば広い範囲にオンライン展示会の情報が行き渡ります。
ランディングページはオンライン展示会の情報を検索エンジン上で公表したいときに使える手法です。他プラットフォームと違い成約が少ないので、自由なレイアウトで自社のオンライン展示会をアピール可能になります。
ただしランディングページは記事量を確保しにくいといった性質があるので、SEO的には上位表示を狙うのが難しいコンテンツではあります。そもそもオンライン展示会自体が長期間宣伝する内容ではないので、狙った時期に集客ができる手法を実行するのがポイントです。
ランディングページと相性がよいのは有料広告です。たとえばGoogle広告にオンライン展示会のランディングページURLをリンクさせて広告を発信すれば、「自分の地域+展示会」などで検索結果上位に自社オンライン展示会が引っ掛かる可能性があります。広告も活用しながらターゲットユーザーにオンライン展示会をアピールしていきましょう。
メールを使ったマーケティングは、既存顧客へオンライン展示会に来てほしいときに利用できます。メールで「オンライン展示会のお知らせ」というタイトルのメールを送って関連リンクを載せておけば、ロイヤリティの高い顧客が積極的に展示会へ参加してくれやすくなります。
またオンライン展示会終了後のフォローツールとしてもメールは優秀です。「ウェビナーへ参加してくれた方へ」といった内容でユーザーに有益な情報を流せば、そのままコンバージョンやリピートなどへつなげることもできます。
ここからは初心者がオンライン展示会を成功させるためのコツをご紹介していきます。
実会場ではふらりと立ち寄った方にも製品やサービスの紹介ができます。しかしオンライン展示会では
・ブースをページで確認する
↓
・興味がある場合だけ立ち寄る
といった流れになるので、ブースページでいかに製品やサービスを前もってアピールできているかが勝負です。
などの項目を確認して、ターゲットユーザーが立ち止まってくれるようなページを作りましょう。
また来場後も3Dを駆使するといった手法で、モチベーションが萎えないようにターゲットユーザーに提案を行っていく必要があります。
オンライン展示会は数カ月も開催までに掛かる大きいプロジェクトです。成功させるには直接登壇する人間や整備を行う人員だけでなく社員一丸で展示会へ臨む必要があります。
実現可能なスケジュールやアイデアなどを社内で出しあって、適切な方法で展示会の準備を進めていきましょう。
いくらブースページや商品やサービスのアピールが成功しても、その後の商談やメールフォローなどのコミュニケーションスキルが不足していると顧客は逃げてしまいます。顧客を逃がさずに継続してトラッキングするためにはデータ分析を基に適切なアプローチを行う必要があります。
今回はオンライン展示会の概要やできること、メリットやデメリットなどを分かりやすくご紹介してきました。
オンライン展示会を活用すると、コロナウイルス蔓延といったトラブルに左右されずに展示会を安心して開催できます。会場のキャパシティも考えなくてよいので複数人をブースに集客してアピールができるのも強みです。
ただし開催のときはプラットフォームを選定して人員を集めるなどの準備が必要です。回線やサーバーなどが安定していないとそもそもアプローチ自体ができないので、プラットフォームはじっくり選択してみましょう。
ぜひオンライン展示会のノウハウを蓄積してマーケティングに活かしてみてください。