ホームページ制作

ホームページ制作会社を選ぶ時のポイントと制作・・・
2020.05.23
TRASPコラム
ホームページ制作
ホームページ制作において自社のターゲットユーザーに効率よくアプローチを行うためには、細かいユーザー象の設定が必要です。細かいユーザー象を設定するときに役立つのが、「ペルソナ」の設定です。
ペルソナ設計はホームページ制作で基本的な作業ですが、制作の担当者になったばかりの方は「内容が複雑で分かりにくい」と思うかもしれません。ペルソナの作り込みにはある程度時間を掛ける必要がありますが、コツさえつかめばスムーズに工程を進められます。
今回はペルソナ設計について詳しく知りたい方向けに、ペルソナとは何か、そして設定のメリットや作成手順などをご紹介していきます。
目次
ペルソナとはラテン語で「persona」と記述します。綴りを見ると、「person」という単語によく似ていることが分かると思います。
personという単語から想像できる通り、ペルソナとは本来「役割、人、人格」などを表していました。そしてマーケティング業界では意味合いが若干変わり、「ユーザー属性を複数細かく設定して、人物像が思い浮かぶようにしたもの」となります。
ホームページに限らず、Webコンテンツの制作においてはペルソナの設定がマーケティング成功のために一つ重要となっています。ちなみにペルソナを用いてマーケティングを行うことを、一般的に「ペルソナマーケティング」と呼ぶので覚えておきましょう。
ペルソナとターゲット(ターゲットユーザー)は、「自社のコンテンツの対象にすべきユーザー象」という点では同じです。ペルソナとターゲットの違いについては、その設定の細かさを比較すれば分かりやすいでしょう。
ターゲットの場合は、ユーザー象を層として考えます。つまり「20代の関東地方に住んでいる主婦」というようにざっくりとした設定を作り出して活用するのがポイントです。ターゲットを設定するのとしないのとではマーケティングの精度に差がありますが、上記の設定はさらに深堀して具体性を高めることも可能です。
深堀して具体性を高め一人の人物像がすぐ思い浮かぶように設定を行ったものが、ペルソナだと考えてよいでしょう。ペルソナの具体例はこれからご紹介していくので、参考程度に確認してみてください。
ホームページ制作においてペルソナを設定すると、次のようなメリットがあります。
ホームページを使ったマーケティングでは、インターネット上で情報を収集しているユーザーに刺さるコンテンツを用意してユーザーが流入してくれるのを待つ必要があります。ユーザーが必要としているコンテンツと自社の作ったホームページに乖離がある場合、ユーザーは「求めている情報ではない」と思い検索エンジンの結果一覧を見ただけで去ってしまう可能性も高まります。
ペルソナ設定が完了していると、人物像が思い浮かべられるレベルでターゲットユーザーの選定が済んでいる状態です。設定が正しければ
・タイトルやディスクリプションはどうしたほうがユーザーを刺激するか
・どういう内容が入っていればターゲットは満足するのか
・ホームページで集客した後、どのタイミングでどんなコンテンツを使ってフォローすればよいか
というように細かいユーザー象を基にコンテンツ設計ができるため、集客における確度も高まりマーケティングが効率化するでしょう。またコンバージョンにおいてもずれをなくして、確実な売上増加につなげられます。
具体的なコンテンツ訴求方法が判明する分ユーザとのずれがなくなるのが、ペルソナ設定のメリットの一つです。
上記で説明したように、ペルソナを設定するとコンテンツの内容がぶれなくて済みます。そしてコンテンツのずれがなくなると作業効率化も狙えるのがメリットです。
コンテンツ制作においてターゲットがあいまいな場合、
・ホームページのタイトルやディスクリプションを変えたほうがよいか
・内容を補足したほうがよいか、あるいは削ったほうがよいか
・メールやSNSなど、ホームページとどのコンテンツを連携させればよいのか
というように迷いが出てくる可能性があります。迷いが多いと作業に時間を取られるようになりますし、余計な施策を実行してしまう危険性も高くなってしまいます。
ペルソナが決まっていれば、「この人物像に届くコンテンツを制作すればよい」と迷いなくホームページ制作を進めることが可能です。結果的にホームページ制作に掛かる時間も短縮され、スピーディーにホームページをローンチして集客ができるようになるでしょう。
そして他のコンテンツも含めたマーケティング施策においても必要な施策とそうでない施策が明確になり、余計な施策に時間を取られて作業が非効率になる事態も避けられます。
マーケティングは一人で行う場合もありますが、基本的には
・制作担当:ホームページの制作を担当する
・SNS担当:SNSアカウントの運用を担当する
・ディレクター:各担当の意見を聞いてすり合わせや指示出しなどを行う
・マーケティング担当:各コンテンツの成果分析や改善点指摘などを行う
というように複数人で担当を決めて執り行います。ですからマーケティングにおいては、複数人でずれのないよう認識を共有しておくのが重要です。
しかし情報を認識のずれなく共有するというのは、意外に難しい行為です。たとえば「30代の女性」と言われた場合、
・一人暮らしでアパート暮らし
・夫と子ども3人で注文住宅で暮らしている
・今も現役のOLとしてIT企業で働いている
などと一人一人の認識の違いによって解釈が異なってくる場合があります。解釈が違うまま作業を行ってしまうと一人一人が違うことを行い、間違った施策を実行してしまうトラブルも引き起こしかねません。
認識のずれをなくすためにも、ペルソナ設定を意識してみてください。ペルソナ設定では人物像が誰から見ても明確に思い浮かぶようになっているため、個人の先入観や思い込みなどが介入して認識にずれが起きてしまうのを防げます。
たとえば上記の30代の女性の事例の場合、
・30代
・女性
・OL
・製造業を営む企業のバックオフィス担当として働いている
・夫と2人暮らし
・仕事は無事盛況だが、その分非効率な作業部分が目立ちクラウドサービスによる効率化を目指している
・会計業務や勤怠管理業務などを効率化したいと思っている
・サービス選定担当として権限があるが、実際に導入を決めるのは社長
・ITに対してある程度良識があり、プログラミングの必要ないWebサービスは使いこなせる
というように深堀しておけば誰が読んでも同じようなイメージを思い描けるはずです。
ペルソナの本領は改善を行ってから発揮されると言ってよいでしょう。事実を言ってしまえば、ペルソナの設定が最初に失敗しても問題はありません。もちろん最初から成功すれば言うことはありませんが、マーケティングにおいては何であれ得られた成果を基に改善を行うプロセスのほうが重要です。
ペルソナは細かく属性を決めて設計を行いますが、細かいからと言ってずっと同じペルソナを使わないといけないわけではありません。むしろ定期的にペルソナを調整して改善を行ったほうが、その場その場で適切なマーケティング成果が得られやすくなります。
まだペルソナ設計を行った経験がない方は今の内に設計方法を覚えて、ペルソナに関するノウハウを蓄積しておきましょう。
ペルソナ設定は思い込みや先入観などで適当に作ってはいけません。データに基づき、次のような手順で制作していきましょう。
まずはペルソナ設定に必要な項目を書き出していきます。必要な項目はBtoCか、BtoBかによって変わるのでチェックしておきましょう。
BtoCの場合
BtoCの場合は消費者のペルソナだけを基本的には考えればよいので、BtoBでペルソナを考える際よりも作業が楽になるでしょう。基本的に必要な項目としては
・年齢
・性別
・居住地域
・職業
・収入
・家族構成
・起床時間や休日の過ごし方などのライフスタイル
・趣味
・性格
・情報の収集手段
・現状の悩み
・どうやって解決したいと思っているか
などが挙げられます。
上記で挙げた項目は基本的なものですが、状況によって用意すべき項目は変更する必要性が出てきます。「どんな質問をしても、明確にその人物になりきって回答ができる」レベルにまでペルソナへ項目を落とし込んでいきましょう。
BtoBの場合
BtoBの場合、商品やサービスの選定担当だけではなく組織全体の性質もペルソナ設定に影響してきます。ですから担当者のペルソナと組織全体のペルソナ、合計2つを用意してくと安心できるでしょう。
担当者のペルソナには
・名前
・年齢
・所属している部門
・会社の勤務履歴
・性格
・ポジション
・業務でどんな悩みがあるか
・どうやって悩みを解決したいか
・どうやって情報を収集しているか
といった項目が必要となるでしょう。
また組織全体のペルソナには
・提供しているサービス
・企業の事業規模
・年間の売上高
・社風
・現状の課題
・将来的な希望
といった項目が必要になると考えられます。
ペルソナ像の作成に必要な項目を書き出した後は、ペルソナ像を探っていきます。探る際には先入観や思い込み、自社が理想とするユーザー象などを内容に盛り込まないようにしましょう。収集できたデータに基づいて冷静にペルソナ像を作成していくことで、正確な成果が出るようになります。
ペルソナのデータを収集する方法としては、次のようなモノが考えられます。
ホームページのアクセス解析ツールでユーザーを調べる
すでにホームページで集客を行っている場合は、アクセス解析ツールでユーザーについて調べましょう。
ペルソナを作るにあたって参考になるのは、
・メインユーザーが済んでいる地域
・どの内容のページをよく確認しているか
・どういった順番でホームページ内を回遊しているか
といった情報です。
データ解析によってどんな商品やサービスが好まれているか確認した上でペルソナを作れば、適切な商材を用意してホームページ上で訴求ができるようになります。
既存のユーザーにインタビューを行う
アクセス解析ツールだけでは、ペルソナ作りに必要なデータ収集が不十分なケースも多いです。
ペルソナにおいては、ユーザーの感情や性格といった定性的(数値化しにくい)情報まで含めてデータを収集する必要があります。定性的データを収集するには、既存顧客へのインタビューを活用するとよいでしょう。
あらかじめ
・なぜ自社の商材を選んで使ってくれているのか
・自社の商材を知ったきっかけは何か
・使う上でよいと思ったことは何か
・使う上で不満に思った点は何か
といった質問内容を決めておきインタビューを行うことで、どんなペルソナ像が求められているかの参考情報が手に入ります。インタビューを行う際には聞き出しが上手い担当者を選んでおき、無理なくターゲットから情報を収集できるように準備しておいてください。
現在ではコロナウイルスの影響により、対面でのインタビューが難しくなっています。「Zoom」といったWeb会議ツールを使ってオンラインインタビューを行う方法も検討してみてみましょう。オンラインインタビューであれば地域に関係なくターゲットユーザーに参加してもらえますし場所の確保も必要ないので、インタビューがしやすいです。
ターゲットとなるユーザーに対してアンケートを取る
インタビューは複数人に対して同時に行うことも可能ですが、その場で担当者が直接問題を聞き出す性質上人数には限りがあります。より多くのターゲットユーザーから定性的情報を収集したい際は、アンケートサイトやメールなどを使い既存顧客へアンケートを取る方法も有効です。
インタビューと同じように聞きたい定性的な項目を用意しておき、回答しやすいようにアンケート内にまとめておきましょう。アンケートを配布する際は
・余計な項目まで聞かない
・必要によって自由回答を設ける
・スマホでも回答しやすいように選択肢形式を活用する
といった工夫も必要です。
データが十分に収集できたら、次は項目へ内容を書き出して明確なペルソナ像を実際に作成していきます。
物語を想像したり書いたりするのが好きな方は、ペルソナ像を作りやすいでしょう。ペルソナで設定する項目を合わせて文章の状態にすると、ストーリー性が生まれるからです。このためペルソナ設定で時間が掛かっている場合は、ストーリー性を意識しながら書き出すと上手く行きやすいです。
たとえば
「運動不足が気になって健康管理アプリを使ってみたところ、運動不足が解消されて無駄のない健康管理が実現した。そこから飛躍して日ごろの業務もアプリで効率化できないかと活用方法を模索している。すき間時間にビジネスに使えそうなアプリを探すのがルーティンになっている。その熱心さは、契約プランのパケットを使い果たしてしまい通信制限を掛けられるほどである。」
というように、物語の登場人物の説明のようにデータを基にしてペルソナを書き出せるとよいでしょう。ただし物語のように、自分の想像で書いてしまわないように気を付けてみてください。
またペルソナにイラストや画像で、イメージする人物像を添付する手法もよく取られます。人物像を可視化しておくとよりイメージがしやすくなり作業が捗ります。
ペルソナ像が完成したら、次にペルソナを基にホームページを制作していきます。
・対象が高齢層だから、黒や青など落ち着いた色のほうがよい
・対象がWebサービスの課金に抵抗がない層だからアップセルを狙える内容も盛り込む
・対象の性格が用心深いから、じっくり基本内容を説明して納得を得られるようにする
というように、ペルソナに応じて作るべき内容は変わってきます。逆にペルソナがしっかりしていれば制作の工程も楽になるので、細かい調整にも目が行くようになるでしょう。
ペルソナへの投資は最低限必要と捉えて、じっくり時間を掛けて後の作業をスムーズに遂行できるようにしておきましょう。
ペルソナを基にホームページを制作した後は、定期的にデータ分析を行い成果が出ているかチェックします。
・設定したペルソナと実際に流入しているユーザーにずれがある
・思ったより売上が出ていない
・一度コンバージョンしてもすぐ離脱してしまう
など課題が発見された場合は、再びインタビューを行ったりアンケートを取ったりしてどのペルソナ設定で失敗しているのか確認することも重要です。課題に関する質問項目を追加して、解決できるように準備しておきましょう。
ここからはペルソナ設定を成功させるためのポイントをご紹介していきます。
でき上がったペルソナ像が正しいとは限りません。特に一人でペルソナ像を作っている場合は、たとえデータを基に作り出したとしても個人の先入観などが入っている可能性が高まります。作り上げたペルソナ像にずれがないかを複数人でよく確認してからマーケティングに活用できるようにすると失敗が少なくなります。
社内の同僚に確認してもらってもよいでしょうが、やはりターゲットとなる顧客に近い人物像を持つクライアントがいればその方に話を聞いてずれがないか確認するとより確実です。なるべくずれをなくして、実際のターゲットユーザーに対して正しいペルソナになるように調整しましょう。
ペルソナは活用できるとターゲティング精度が高まり便利です。しかしホームページ制作で活用する場合、まったく同じペルソナをすべてのページに適用するのはやめてください。
自社のホームページではコンテンツごとに、
・このページは自社事業に関する単語を知らない潜在顧客向け
・このページは自社事業に関する基本単語を知っていて、さらに深く知りたい方向け
・このページは自社事業に関するサービスを検討していて、決定したい方向け
というようにターゲットユーザーに違いがあるはずです。それにもかかわらずペルソナを使い回すと、本来のターゲティング精度を発揮できなくなります。
適したペルソナの設定数というのはありませんが、ターゲットユーザーが変わるのであればその都度ペルソナを変更して適宜調整する必要があるでしょう。ペルソナを使い回すのは、ページごとにタイトルやディスクリプションを使い回すのがSEO上よくないのと同じです。ペルソナ設定が面倒だからと言って、考えるのを放棄して使い回そうとするのはなるべく避けてください。
ペルソナ設定が面倒にならないよう、作業をある程度テンプレート化しておくのもポイントです。ペルソナ設定は状況によって変わりますが、どんな状況でも必ず聞いておくべき共通項目はあるはずです。それをあらかじめ書き出しておき、誰でもすぐに使えるようにシート化しておくと情報収集により時間を掛けられるようになります。
マーケティングにおいては、「作業に大半を割かれて肝心の分析ができない」という場面が多々発生します。分析作業や改善点洗い出しなどに時間を割けないと、マーケティング精度が下がり失敗の原因になるでしょう。ペルソナのテンプレート化などで定型的な作業工程を簡略化して、本来時間を充てるべき作業に集中できるようにするのも成功のためのポイントです。
ペルソナ設定と改善は長期的な作業になるので、
・Plan:計画を立てる
・Do:計画を実行する
・Check:計画の実行具合を確認する
・Action:Check内容を基に改善点を洗い出す
というPDCAサイクルをいかに効率よく回せるように体制を整えておくかも重要です。
ホームページの規模が大きいほど、改善すべきペルソナの数も増えていくでしょう。最初から十分なリソースを確保した上で計画を立案して、改善を余裕を持って行えるようにしておくと確実な制度改善が行えるでしょう。
自社のリソースが足りない場合は、外部の業者にペルソナ設定を含めたホームページ制作のサポートをお願いしてみましょう。ホームページ制作においてはペルソナ設定が重要なので、ホームページ業者は関連のノウハウを持っています。実績などを確認して適切な業者を探してみてください。
ちなみに弊社でもペルソナ設定を含めたホームページ制作をサポートしています。気になる方はぜひ下記から制作の流れをご確認ください。
今回はペルソナとは何か、そしてペルソナ設定のメリットや手順、成功させるためのコツなどをご紹介してきました。
ペルソナ設定を行えば、ターゲットユーザーのずれなく確実にホームページ制作において集客やコンバージョンなどが行えるようになります。ただしペルソナ設定の際は先入観や理想などを入れず、データ分析やインタビュー、アンケートなどで収集したデータを基に冷静に設定をするように心掛けておくことが重要です。
ぜひペルソナ設定においてもPDCAサイクルを回して、よりよいペルソナを設定できるように努力してみてください。
2020.10.28